診察中の暖かいお話

2019/08/01

メロディー橋と二本のマレット 「鉄板を舞う音符に変えて行こう」 クリニックの横に大川という川があります。川に架かっている小さい橋は “メロディー橋”と呼ばれます。 と言うのは橋の手すりに鉄琴のようなものが付けられており、それを奏でると”赤とんぼ”のメロディーが鳴ります。 この地域でクリニックを構えることにしたのも、この可愛い橋はその決め手になったと言っても過言ではございません。 昔、子供達の放課後黄昏時、よくあの橋から赤とんぼのメロディーが流れて来ました。忙しい診療中のスタッフ達にとって、その音が良いほどのいい癒しになりました。 時代と共に、少子化、或いはこの時代の子供達は余裕がなくなりましたか、その橋からメロディーが流れて来なくなり、マレットも常に無くなって、とても寂しい状態になりました。 先日クリニックにかかってきた90歳の患者さんが二本のマレットを持って来て頂きました。 「先生、どうぞ、気が向いたら橋でメロディーを奏でてあげてね!実はそのメロディー橋のアイディアは僕からです」。 多分診察室に先生が描いたメロディー橋の絵が飾られてるのを見て、持って来て頂いたのではないかと想像しております。 そのお話を聞いて、なんとも言えない気持ちになりました。 「この老人の気持ちを大事にしたい!メロディーが常に流れている時代に戻したい! 大人や子供関係なく、通りかかったら鳴らして、メロディーの音を生き返っらしてほしい!」 二本のマレットに籠もったストーリーと思いを語り続けて行けなければと、マレットを診察室に置い、メロディー橋のお話をしながら、奏でてみたい方に貸すということを決めました! ご来院の皆様、興味がある方は帰りの際に受付に”マレットを貸してください”とお声を掛けていただくと嬉しいです。